円安がニュースになっています。
急速に進む円安 「値上げ」や 「経営への影響」も(NHKニュース)
為替の上下なんてこれまでもあったよね、気にすることじゃないよ~
知ってるよ、アメリカが利上げするって言ってるからだろ?
戦争でみんながドル買いに走っているからでしょ?
なんて声が聞こえますが、本当にそうでしょうか?
今回は、今回の円安がこれまでと違い、生活に影響を及ぼす可能性が高い という解説と、それに備えての対策も併せて説明したいと思います。
これまでと違い「悪い円安」が進んでいる。スタグフレーション到来?
結論から言いますと、これまでの
1ドルが120円になりましたこれは円安ドル高水準です
1ドルが100円になりました円高に進んでいます
といったような、よくニュースで流れる、一時の増減の話ではなく、今回の円安は、
- 日本円の価値がどんどん下がっている
- 今後も続く可能性が高い
- 生活への影響出てきて、長引く可能性が高い
ので対策していく必要があるよ。ということです。
つまり、長年続いたデフレ状況から、ついにスタグフレーションに差し掛かっているということです。
スタグフレーション
景気が悪いのに、物価が(悪い形で)上がってしまう。でも給料は上がらない(上げられない)という状況
に日本がなってしまっているということです。以下に解説していきます。
今回の円安が、悪い円安と言われる理由
円の価値がめちゃくちゃに下がっています。
3/28 1ドル=125円を付けニュースになりました。これは6年10か月ぶりのこととのことです。
この手のニュースよくある話ですよね、でも待ってください、125円というのも円安だなーという感じですが、
これって悪い面もあるけど、輸出企業にはプラスだよね?
ってことはいい面もあるだろうし、そんなに騒ぐことでも
無いんじゃないの?
と思われるかもしれません。
確かに過去にはわざと円安に振っていくことで、輸出関連企業に有利に働くようにしたりだとか、政策をとっていた時期もあります。円高だと、輸出品が高くて売れませんからね。
でも、今って当時と違って、輸出ってそんなに好調じゃないですよね?自動車も海外に工場が進出して、現地生産が多くなってませんか?なのであんまり円安っていい面ないんですよね。
逆に、輸入品が高くなっちゃう訳ですから、こっちの方が困りますよね。エネルギー関係(石油・ガスなど)、食料品(小麦、肉など)輸入しているものたくさんありますから、全部値段が上がってしまいます。原材料が上がると、サービスの値段も上がります。生活にいろいろ影響が出てきますよね。
しかも今回の円安、一時的なものじゃなく、先が見えないんです。むしろ続く可能性が高いんです。
というのも、アメリカでは新型コロナから立ち直り、経済活動を再開し、急激に景気が回復しています。しかし物不足や人材不足、物流がまだ追いついていない等で、インフレとなり、物価が急激に上がっているために、アメリカでは金利を徐々に上げていくことが決定しています。
日本が、これに合わせて金利を上げれれば問題ないのですが、上げられないために、金利差が広がっていくだろうとの憶測から、円を売って、ドルを買う動きが加速しているため、さらに今後もこの動きが続きそうなのです。
日本だけが成長しておらず金利を上げられない
皆さんも銀行にお金を預けたり、何か金融商品を買ったりするときって、金利は高い方に預けたり買ったりしたいですよね?
年利0.01%の今の銀行預金に預けるより、年利2%の別の銀行があったら、そっちに預けた方が、毎年増えるのですから、当然高い金利の方に預けますよね。
同じく国の通貨で、金利が違うのであれば、とうぜん金利が高い国の通貨を買っておこうとなります。日本が0%金利なのに、アメリカが0.25%ずつ今後上げていきまーすと、宣言しているのですから、じゃあ円預金をやめて、アメリカドルを買っておこうか、となります。
国家間の金利差っていうのはあってはよくないので、じゃあ日本も追従すればいいじゃないかとなりますが、今の日本は金利上げられないのです。
なぜか?
景気が悪いからです
好景気の時には急激に物価も上がるので、それを抑えるために、金利を上げて急激なインフレを抑えるのですが、景気が悪い時に金利を上げてしまうと、さらに景気が悪くなってしまう恐れがあります。
景気を良くしようとして金利を下げる金融政策をしていて、マイナス金利なんてことまでしているのですから、簡単には上げられないのです。
日本が金利を上げないことは明白
アメリカが金利を上げていきまーす。とずいぶん前から決めているのに、日本はどうするか?ということはなかなかはっきりしなかったのです。政府からも金利を上げるべきという声は出たりしたのですが、
3/29 日銀が初の「連続指値オペ」約5280億円分の国債買い入れ(NHKニュース)
というニュースが出たことで、日銀の方針が市場に伝わり、一気に円売りドル買いが進みました。
初めて3日連続で指値で買オペを行った というのは、日本の国債を無制限で買いまくったということです。つまり、金利の上昇を抑えるために、3日間で2兆円もの国債を買いまくりました。
先日さらに買いオペ行うとニュースになっていました。
4/20 日銀「連続指値オペ」国債無制限に買い入れ 21日~26日 実施(NHKニュース)
ということはつまり、
日銀は何が何でも金利を上げないと言っているのと同じ ということです。
これにより、
・アメリカは金利を上げることが決まっている、しかも利上げペースを早くするかもしれない
・日本は金利を上げない(上げれない)
ということは、ますます金利差が広がっていくだろう との憶測を呼び、さらに円安が進むことが予想されます。
日銀に打つ手がないのがわかるので、非常に悪い円安になってしまっているのです。
日本円の価値が下がることの影響
通貨の価値というのは、国の価値と言えると思います。安い通貨では、その国の資産がどんどん目減りしていってしまうからです。
ロシアの通貨ルーブルが戦争によって暴落しましたが、現在は制裁の抜け穴やルーブル払いを強制的にさせるなどの政策により価値を戻してきています。
通貨が暴落してしまうと、国の価値が下がってしまう、つまり国家の存亡に関わるため、必死になって通貨価値を下支えようとしているのですが、なんと、そのルーブルに対しても円安となってしまっているのです。それだけ市場では円の価値(日本の価値)が下がっているということです。恐ろしいですね。日本どうしてしまったのでしょう・・・
円の価値が下がるということは、円で持っている資産がどんどん目減りしていくということです。銀行に預けている預金の価値が下がっていくということです。
日本国内で暮らしている分には関係ないように見えるかもですが、ここにきて、長年目指してきた物価上昇率2%をこの4月に達成見込みとのこと。
円安による輸入原材料の高騰で生活コストの増加は避けられません。値上がりによってこれまでと同じ値段では物が買えなくなってくるということは、資産が目減りしていくということです。
悪い円安への対策、円のみは危険
円安では、メリット・デメリットがありますが、今回はデメリットの方が多く、今後も続く可能性があります
その悪い円安への対策としては、円だけの資産形成は危険です。為替リスクを織り込んで、外貨建ての資産を持つようにしましょう
100%円貯金のみです。為替リスクなんて考えたことありませーん。といった考えの人は、こういった歴史的な円安を良い機会捉え、外貨の割合を増やしてみてはいかがでしょうか。
今回は、円安進行のニュースをいろいろなニュース番組で見るようになりましたが、さらっと流されて終わってしまっているように感じたので、お金の知識として知っておいてほしい解説記事として取り上げてみました。
ありがとうございました。
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